コンポストトイレを20年間使った経過を、故障と修理と注意点を中心にお話しします。自作する場合の参考にもなると思います。

このコンポストトイレは、元々は日本アルプスの尾根筋にある山小屋のために開発された、生ごみ処理機も兼ねているものです。

それまでの垂れ流しを解消した優れものでしたが、まだ開発途上なのか欠点も多く抱えていて、メンテがけっこう大変でした。

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カモジーの工房は牛舎を改造したもので、人間様用のトイレはありませんでした。
他の同様の工房では工事現場用の仮設トイレを置いて使っていたりしています。

コンポストトイレ・生ゴミ処理機を設置する

カモジーの工房では、汲み取りの必要がないコンポストトイレにしました。
生ゴミもポイポイ放り込めます。猫トイレもおが屑ごと放り込みます。

とにかくみんな消えて無くなっちゃいます。消滅型とも言われているようです。

このトイレの大まかな構成は

  • ギアモーターによる攪拌
  • 使用後スイッチを押して攪拌。正転1分間、逆転1分間後に停止。その後8時間毎に同様の攪拌を繰り返す。
  • 面状発熱体による保温(温度調節可能)
  • 攪拌槽をはじめ大半のパーツはステンレス製

となってます。

本来は床下に設置するものなのですが、度々修理・改造することになったので、床上に上げてキャスターを付けてどこでもゴロゴロと移動できるようにしました。

上蓋は取り外して、この写真のようになりました。
元の形の写真は無いのですが、ウイキペディアに少し載ってました。

水分調整が要で、すごく大事

このコンポストトイレは当初は4~5人で使っていましたので、水分調整には気を使いました。水分過多になりやすかったです。ベチャベチャの状態では好気性発酵がうまくいきません。

ここ数年は一人で使っているので、水分過多にはならずに、逆に水分過少で乾いた粉のようになってしまい、これまたバクテリアも繫殖しづらいので、ときどきバケツで水を補給しています。

コンポストトイレでウジが湧いたという話が「教えてgoo」などに出ていますが、たぶん水分過多でベチャベチャの状態だったのではないかと思います。工房のコンポストトイレでは発生したことがありません。

水分調整が適切であれば仮に成虫が卵を産み付けても、というか、たぶん産み付けようとはしないんじゃないかと思いますが、ブレードによる攪拌でこなれてしまって、ウジの状態では生きられないのではないかと思います。

水分調整がうまくいっていると、好気性発酵でほとんど臭わないのですが、排便や生ゴミ投入直後は臭いますので、脱臭筒は付けておいた方がいいでしょうね。

攪拌槽から吸い込むようにしておくと自分でした時も臭いません。普通の水洗トイレよりも臭いませんね。

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攪拌によって空気を取り込み好気性発酵をさせる

バクテリアの担体であるおが屑を攪拌することによって、空気を入れて好気性発酵を促しています。

担体としてのおが屑や籾殻に空気中のバクテリアが住み着いて有機物をバクバクと食べるわけです。バクバクバクバク食べて、出すのは水蒸気と炭酸ガスで、残るのは僅かな無機物だけになります。

この20年間で担体(菌床ともいう)を取り出したのは、修理の時以外にはありません。無くなる一方なので、攪拌槽の半分以下になったらおが屑を足すようにしています。

トイレットペーパーの分解については「糞尿博士・世界漫遊記」中村 浩 著 (現代教養文庫 762)によると普通の好気性発酵では紙は分解しないとありますが、なんか粉のようになって結局のところ無くなっているようです。

ちなみに、この本は当時絶版になっていたのですが、希望者を募って再版していただきました。

今は中古しかありませんが、とても面白い本なので、ご一読をおすすめします。

糞尿博士・世界漫遊記 (現代教養文庫 762)

運転を長期間止めてはいけない

また、これは水分調整とは違う話なのですが、攪拌しない状態が長く続くと大変なことになります。

ある時、長期間(2か月近く)留守にすることがあって、その間もったいないので電源を切っていたのですが、戻ってみると、固くモルタルのように固まってしまってモーターが回りません。

そのままやるとモーターが焼き切れるかブレードが折れるかするので、攪拌槽を引っ張り出して蓋を取り外して固くなった中身を突き崩して掻き出しました。本当に大変でした。

このギアモーターによる攪拌式のタイプは中身が入っている状態で長期間にわたり運転を止めてはいけません。

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アンモニア腐食はすごい

アンモニアによる腐食はすごいものがあります。このコンポストトイレは当初ステンレス製のシャフトとブレードでしたが、シャフトを支えるベアリングはフランジ型自動調心シール付きの鉄製のベアリングでした。

ある時、ゴロゴロと嫌な音がするので、観てみると、なんとシャフトがベアリングの中で大きく偏心して動いているではありませんか!それなのに反対側のシャフトを見るとまったく回転していません。

ん~? これは中でシャフトがねじ切れたのではないかと思い、中身を掻き出してみました。するとシャフトから生えているブレードがボキボキに折れていて、30Φのステンレス製のムクのシャフトがねじ切れていたのです!

よく見るとベアリングのボールが腐食して割れて、半分くらい無くなっていたのです。本当にたまげてしまいました!

原因は、フランジ型のベアリングハウジングが攪拌槽に接してダイレクトに取り付けられていることでした。

アンモニア分がシャフトを伝ってベアリング部に流れ込み、鉄であるボールベアリングを腐食させてしまったわけです。

これを想定しなかったのは、設計ミスだと思いますね~。

ベアリングはSUSか樹脂製であることが必須の条件

他はすべてステンレス製なのに、何故この肝心な軸受だけが鉄製なのか?
理解に苦しむところです。

ここは樹脂ベアリングにするか、鉄製のベアリングならば攪拌槽から離して取り付けて、リップを設けてアンモニア分の流入を防ぐようにせにゃいかん。

ということで、腐食したベアリングと同じものをアルミブロックの下駄をはかせて、40mmほど攪拌槽から離して取り付け、リップを設けてグリスをたっぷりとつけました。

この改造はうまくいって、6~7年経ちますが、順調に回転しています。

シャフトの方ですが、折れたシャフトは攪拌槽を貫通する形で取り付けも取り外しも大変なので、攪拌槽内で取り外せるようにフランジを新設して3分割にして、攪拌槽の上部から出し入れできるようにしました。

シャフトの角パイプの材質はSUSにしたかったのですが、加工が難しそうなのと、高価だし、新しい形態のテストも兼ねて簡単に作れて、やり直しても安価な鉄でやることにしました。

SUS30Φに替えて、厚さ5mmで75x75mmの鉄角パイプにしました。この角パイプに12Φの貫通穴を開けて鉄棒を入れて攪拌棒にしました。

まあ、2年は持つだろうと思ってましたが、3年近く持ちました。しかし攪拌棒は腐食で瘦せて折れ曲がっていました。

攪拌棒は片持ちなので、構造的に弱く、この使い方では持たないということが分かったので、4tx30のSUSフラットバーで前と同じサイズの鉄角パイプを挟んでボルトで止めて、両端部もボルト締めにして、軸方向から見ると三角形を構成するようにしました。

これはSUSフラットバーが頑張ったので角パイプは1年半くらいでねじ切れました。取り外してみると、角パイプはボロボロでしたが、SUSのフラットバーは無傷でした。

ということで、最終形は同サイズのSUS角パイプに無傷だったフラットバーを取り付けて今に至ってます。トイレの中でピカピカと光りながら快調に回っています。

まとめ

このタイプのコンポストトイレを選ぶ、あるいは自作する、にあたっては

  • すべてのパーツがステンレス製であること
  • 軸受のベアリングは樹脂ベアリングかSUSか、鉄製の場合は十分なアンモニア対策がされているか
  • 電気回路はできるだけ単純なものであること
  • メンテナンスがしやすい構造であること

が大事です。

その後

今日は2019/7/25ですが、また壊れました。2年弱しか持たなかったな~!
動画では7年とか言ってたのにな~ ナンタルチア!!

ばらしてみないと分かりませんが、ギアモーターは回っていて、駆動側のシャフトは回っているので、内部の駆動側のフランジ辺りがダメになったのではないかと思われます。

今回の修理の顛末は別の記事に書いていきます。

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