玄米ブームのようですが、ネットを見ていると籾摺りや、精米のことで困っている方が多いですね。

「コイン精米所で玄米はできるのですか?」とか「コイン精米所で籾摺りはできるのですか?」という質問が多くあります。

すり鉢と野球ボールでやるなども紹介されていますが、趣味的ではなく実用的な、家庭用の籾摺り機をご紹介します。

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籾摺りってなに?

籾摺り(もみすり)とは、籾の状態から玄米にすることですが、意外と知られていませんでした。

玄米を好む方は、玄米の状態になったものを購入されるのだと思いますが、籾の状態のものが入手できれば、玄米よりもはるかに保存がききます。

なんといっても籾ですから、鎧を纏っているようなもんで、強いんです。
だから籾は何年経っても、生きていて、蒔かれれば芽を出して成長できるんですね。

それに比べると玄米は、裸にされたようなもんで弱いんですね、これが。
酸化もするし、虫もつくし、不味くもなります。

ということで、できれば籾の状態で保存して、食べる時に食べる分だけ籾摺りして、玄米に、あるいはさらに精米して三分~五分~七分とか白米にして、食べるのがもっとも新鮮で美味しいのであります。

農家で籾摺り機を持っているところは少ないですし、農協でも2~300kg以下の少量では対応してもらえません。

関東では、お米屋さんでも籾摺りをしてくれるところはほとんどないようです。

東京西部の瑞穂にあるジョイフル本田にはあるんですが、現在(2018/12)は修理中だそうです。

ゆったりとした手動の籾摺り機

これは非電化工房というところで開発された手動式の籾摺り機です。

この手動の籾摺り機は、一度に3合までの籾摺りができます。

籾を上のホッパーに入れて、ハンドルを回転させて籾摺りをします。
すると籾殻と米粒に分離されて米粒は下のケースに、籾殻は風車で後ろの隙間から外に飛ばされるようになっています。

一秒間に2~3回の回転数でゴリゴリとやるわけです。120~180rpmということですね。
玄米になったものは下のケースに溜まるのですが、一回では籾殻が取り切れないので2~3回、このゴリゴリを繰り返します。

わざわざ非電化と謳っている開発者には叱られそうですが、工房のカモジーはズボラなので、手が疲れると時々こんなこともしています。

一秒間に2~3回転の大体の回転数でいいのですが、カモジーは面白がって、回転計で測ったりなんかもしています。

籾殻は付属のネットで捕捉するように設計されているのですが、容量が小さいし、毎度のことになると掃除が面倒くさいので、ネットは使わないで紙などで囲って飛び散らないようにして、下に適当な箱を置いて籾殻を受けています。

こうすると毎回ネットを外して掃除する手間がなくなるので、より使い易くなります。

ちなみに、この籾殻はコンポストトイレに入れてバクテリアの担体にしたり、工房で出る木屑と混ぜて灯油を少し含ませて薪ストーブの着火剤として使っています。

玄米で食べる時は、このまま炊飯器の中釜に入れて流水でオーバーフローさせます。
すると少し混在していた籾殻は、浮いて流出して取り除くことができます。

とは言え、完璧には行きません。少しは籾のままのものが残ります。
最初のころは気になって、一つ一つ取り除いていましたが、今ではそのまま炊いて食べてます。

ノープロブレム!おおらかが一番です。

なお、後で出てくる精米機で、わずかに回してやると、さらにもみ殻はとれます。

一晩水につけて普通に炊きます。水を多めにと言われることが多いですが、目盛りなんかは無視して、昔ながらの手のひらを置いて指の高さというのが一番いいです。

2~3回炊けば加減がわかります。

この籾摺り機はこちらの非電化工房のホームページから入手できます。

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籾摺りは昔はどうやってたんだろう?

業務用の電動の籾摺り機は販売されていますが、家庭用には大きすぎて能力もありすぎで、高価です。

この手動式の籾摺り機を使っていて、ふと昔の人はどうやっていたんだろう?という疑問が湧いたので調べてみました。

古代は臼 (うす) に籾を入れて杵 (きね) で搗 (つ) いてやっていたそうです。
その後、木摺臼や土臼が発明されて少し楽になったんですね。コーヒーミルのデカいようなものです。

それでも重労働なので、さらに鹿威しの要領で水力を使ってやるようになり、水車を使うようになり自動化していきました。

大正時代に、水力に代わって電力を使った籾摺り機が発明され、現在に至ります。

なるほど、こうやって日本人は何千年も米を食べてきたんだな~と納得しました。

使える流水があれば、こういうのもありだなと思います。

三分づき~白米で食べる時には精米機で

三分づき~白米で食べる場合は、さらに精米機で精米します。

上にも書きましたが、玄米で食べる時も、この精米機でわずかに回してやると、籾摺り機でとれなかった籾殻も、さらに外せます。

この精米機はアナログでとても分かり易く、使いやすいです。

壊れる時も、どこが壊れたのか解らないブラックボックスのデジタルと違って、分かり易く壊れてくれると思います。

カモジーのようなアラセブンチ以上の年代にはありがたい。

それに、手作りに近い籾摺り機に比べて、量産品なので安価です。

三分づきでもかなりの糠が取れます。ぬか漬けにいくら使っても有り余る量です。
白米まで精米するとすごい量の糠です。

これをみると、なんというもったいない食べ方をしていたんだろうと実感します。

わざわざ完全食を不完全食にして食べていたんだな~と思いました。
卵に例えれば、黄身を捨てて白身だけを食べているという感じでしょうか。

白米ばかりを食べてなる「江戸わずらい」とか「大阪ばれ」と呼ばれた脚気では、江戸から明治にかけて、多くの死者を出したそうです。

日露戦争では、戦傷病死者4万余人のうち病死者が3万人を占め、病死者の多くは脚気によるものだったと言われています。

海軍では麦飯なので、脚気による死者はゼロだったのに比べて、陸軍は白米にこだわったためだったんですね。

またぞろ、最近ではインスタント食品やジャンクフード菓子などの影響でか、脚気が増えてきているそうです。

余談ですが、ハイゼットという、なにやら軽トラのような名前の薬があるそうなんですが、これは米糠から採れるそうで、日本人にしか効かないらしい。(伝聞です)

まとめ

  • お米は籾の状態だと、何年も発芽可能な状態で生きていて、そのまんま新鮮に保存できる。
  • 食べる時に、食べる分だけ籾摺り精米すると、新鮮でとても美味しい。

貝原益軒の養生訓「遠くて近いものを腹八分」のとおり!と思いましたですね。

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