とある幼稚園の園庭に見晴台をつくることになりました。

作りながら公開していきます。

こういうものを作っていきます。

こういう所に作ります。

作っていくのを一緒に楽しんで頂けたら嬉しいです。

ちなみに上の絵は無料のお絵かきソフト(3DCAD)のSketch Upで描きました。

準備をする

丸太を仕入れる
ここ高山の森林組合で、檜の丸太を15本仕入れました。
3mの長さで、末(細い方)の直径が10cmのものです。

安い!と思う。一本450円です。

重い!ので重機で積み込んでいます。
2回に分けて運びました。

実際に重さを測ってみます。

40kgで滅茶苦茶に重いというわけでもないですね。とは言え、8本で320kgで軽トラの積載量(350kg)ギリギリセーフというところでした。

皮付きのままで使う予定だったのですが、まだらハゲになっていて汚いので、皮を剥ぐことにしま仲間にした。
ひえ~、時間が無いのに余分な仕事が増えちまったい!

膝腰体操教室の仲間に手伝ってもらっています。
女性ですが、カモジーより力が強い!情けないな~、老トレしないと・・・

組立台を作る
カモジーの工房は一人なので、一人でも作れるように組立台を作ることにします。
天井のクレーンは一軸だけなので、下でXYで自由に動けるようにキャスター付きの組立台を単管パイプで作りました。

ロープワークの練習をする
周囲にロープでネットを作って螺旋階段のようにするので、ロープの編み方の練習をします。

まずは、上の丸太と下の丸太を垂直に繋ぐための輪作りをやります。
さつま編みといいます。英語ではアイスプライスと言うらしい。
ユーチューブの動画で勉強しました。さつま編みで検索するとたくさん出てきます。

さつま編み

また、ロープの末端がほつれるのを防ぐための端止め(バックスプライス)も学びました。

上に写っているのはスパイキという道具で、編み込む時に撚り紐(ストランド)を差し込み易くするためのものです。和名はなんというのだろうか?
20Φ位の丸棒を先細りに削って簡単に作れます。

そういえば、イギリスの鞍馬天狗的(人気があるという意味で)小説のホーンブロワーシリーズに水夫がこの道具を使っているのが時々描写されていました。

写真でピョロピョロと出ている部分は切ってテープで止めておきます。

組み手の試作

頭ではこんなことを考えていますが、成り立つのかどうか組み手部分の試作をします。

単管ドリルガイドを作る

組み手4箇所のボルトが垂直に立ってないといけないので、単管パイプの心に垂直に貫通穴を開けるためのドリルガイドを作ります。

左側がガイドなしで開けた貫通穴、右側がガイドを使って開けた穴です。
垂直にたっています。

こんな感じになります。左の柱にボルトを貫通させます。

丸太の中心に穴を開けるためのジグを作ります。

丸太縦ドリルガイドを作る

土台と柱を繋ぐのに、12Φのボルトを使いますが、そのために18Φで300mmくらいの穴を丸太の中心に貫通させます。

そのためのドリルガイドを作りました。600mmのロングドリルを使います。長い!

ところが、トルク不足ですぐに止まってしまいます。

横方向から繊維を断ち切る場合はいいのですが、繊維に沿って穿孔する場合は締め付けられるのか大きいトルクが必要のようです。

ボッシュの550wの製品ですが、このままでは作業が進みません!
しかたないので、マキタの710wの重穿孔もラクラクという謳いと文句のものを仕入れることにしました。

マキタの710wが届きました。ドリルガイドで開けた穴をガイドにして穴あけしています。
さすが重穿孔もラクラクというだけあってらくらくとやれます。
トルクが強いので左のバーを握っていないと振り回されてしまいます。

ようやくこれで先に進めます。

締結用ナットを締めるための穴を開けます

締結用ナットを締めるための穴を角のみで開けます。
と思ったのですが、10年くらいは使ってなかったので、錆付いてガイドがまったく動きません!
しかたないので、角のみの整備レストアをしました。

CRCジャブジャブ紙やすりゴソゴシ木槌コンコンで少しづつ動かしてやっとこさスムーズに摺動出来るようになりました。やれやれ😥

丸太固定のジグを作って穴を開けます。

ようやく組み手の試作が出来ました。角穴の中でナットを締めます。
なんとかなりそうです。

穴の奥のナットを手で締めるのはなかなかに難しい!
そこで特殊工具(大袈裟ですが)を作りました。単にゴグベルトの切れ端です。

これを写真のように引っ掛けて、右側を引っ張るとナットを指で締めるよりも強く締めることができ、ラチェットレンチが空回りすることなく締めることができるようになりました。

締め上げると傾ぐ

めでたく締め上げられるようになったのですが、締め上げると傾いでしまいます。

組み上げる時は緩くナットを締めておいて、全体を組んでから少しづつ締めていく必要がありますね。
エンジンヘッドを締め上げる時と同様なやり方です。

丸太に垂直穴を開けるためのジグを作ります

土台になる単管パイプの水平に対して垂直になる穴を丸太に開けるためのジグを作ります。
この絵のようなものを作ります。

角度の自由度を得るために、18Φではなく27Φの穴にします。

穴のセンターのマークが必要ですね。

実際に開けてみます。

切粉が詰まってさすがの710wも、トルクが過大になって止まってしまいます。
少しづつ正転と逆転を繰り返して、切粉を排出しながらやる必要があります。
さらにドリル刃の側面にシリコンを吹き付けて、ようやく出来るようになりました。

いよいよ本チャン

ようやくジグなどの準備ができて、本チャンにかかれます。

土台を作る

土台になる単管パイプに穴を開けて長ネジを4本立てます。ほぼほぼ垂直に立ちました。

丸太にボルトを通して載せます。

土台が出来上がりました。

柱を作る

柱のエグリをやります。
チェーンソーで大まかに切り込んでエグリカッターで整形します。

丸太を薄い輪切りにして、エグリのテンプレートにしています。

エグリ省力化

チェーンソーでやるのはなかなかに大変なので、ドリルで穴を開ける方法に変更しました。

この後エグリカッターで整形します。
チェーンソーでやるよりもはるかに楽にできるようになりました。

柱を立てる

柱を立ててみました。

冶具を改良する

見晴台屋上の手摺の柱は貫通うボルトでやることにしました。テッペンをアイナットで締めこんで柱を固定するとともに、手摺のロープを通すアイにしようというわけです。

そうすると、柱に穴あけする時に使った最初の冶具では芯芯に通し穴をつくることは難しいので、旋盤の心押台のようなものを付け加えることにしました。

左側の丸は心押無しのジグで貫通したものです。
当たり前ですが、ズレてます。

梁を載せる

柱を4本立てて梁を載せます。
各結合点のボルトが仮止めなので傾いています。

落下防止対策

そろそろ高い所の作業になるので、落下防止の対策をします。

安全帯を2本使ってブラ下がることにしました。
そういえば、高所作業用の安全帯の規格が2019年2月から変わりましたね。
なにやらパラシュートのフルハーネスみたいな格好です。

主な特長はフックが二つついていることと、落下のショックを体全体に分散して受けることです。
フックが二つついているということは、常に一つのフックはどこかにかかっているということで、今までのフックが一つのものに比べるとはるかに安全になりました。

この新規格の安全帯の講習を見たことがありますが、とにかく常にどちらかのフックがかかっていることを徹底していました。

価格は2万円以上はしますが、落下による死亡やケガからみると、はなはだ安いといういうことですね。
ちなみにカモジーは1Mの高さから落ちて手首を粉砕骨折したことがあります!

棟上げ

ようやく梁が2本乗りました。

壁面パネル

この見晴台は高山の工房で作っていますが、設置するところは遠く離れたところです。
一度組み上げてからばらして、現場で組み立てます。

いわゆるノックダウン式で作っています。
そのために壁面もユニットで作る必要があり、筋交いも柱につけるのではなく、壁面パネル側に付けました。

余談ですが、柱と柱の間の寸法を測るのにメジャーを使うとなかなか正確に測れません。メジャーのアールになった部分を読むので読み取りにくいのです。
そこで、こんなものを使います。

二枚の細長い板を用意して、合わせて掴みます。測りたいものの間に板同士をずらしてピッタリと合わせます。
写真のようにピンチなどで挟んでから測定場所から外して板の両端をメジャーで測ります。

このようにすると、物と物の間の測りにくい所も正確に測れるようになります。

また、このような物と物の間を測るのに便利なメジャーもあります。

入り口以外の壁面パネルのフレームが出来ました。

梯子とポールが出来ました。
この見晴台の名前は園児達に付けてもらいます。
このポールには、その名前にちなんだ旗をデザインして付けます。

回り階段用のロープを付けた

内部の造作がほぼ出来て、ネット回り階段用のロープを付けてみました。
お神輿のようだとGSGのメンバーが言います。

床下からも出入りできるように出入り口をつける場所です。
子供たちにも建設に参加してもらうつもりです。
犬が床下に穴を掘るように、ホジホジしてもらいます。

この床は作業用の仮の床で、実際は現場で孟宗竹を割ったものを張ります。

なんか子供たちの歓声が聞こえてくるようでワクワクしてきたぞ!

回り階段のネットを捜す

高いですねぇ!さつま編みでやってる国産のものは2mx2mで10万円もします。
1mx2mが三枚必要なので、ネットだけで20万円にもなりますので使えません!

外国製のもので1万円そこそこのものもありますが、なんとなく心配です。

ジタバタと探しているとB級品で2万円というのがありました。さつま編みだし16mmの太さということでパクッととびつきました。

アマゾンで購入したのですが、発売元の会社の納期が15日ということで、ギリギリだったのですが注文しましたが、注文してみると、いきなり到着日が23日になってしまっています。これでは間に合わないのでキャンセルするというといきなり明日に出荷しますということになって、8日に届くことになりました。いったい何なんでしょうね。
ということで、ネットが無事に届きました。

デカクテ重い!8kgもあります。

2mx2mなので半分に切ります。

ハサミではなかなか切れません!カッターで切ると端がバラバラになってしまって端止めに苦労します。

そこでいいことを思いつきました。
先にビニテープで巻いておいて、包丁とまな板でスパッと切るのです。この状態でライターで炙ってやればキレイに端止めも完了です。アッというまに半分に出来ました。

仮止めしてみる

半分にしたネットを仮止めしてみます。

屋上の加工

屋上部分にかかりました。

手摺

転落防止柵の手すりをロープ二段で付けました。
もう一段下に付ける必要がありそうですね。あるいはネットを張るとか・・・

この手すりの高さは60cmで六歳児の平均身長からすると、およそ胸の高さになります。

こちらの開口部には余ったネットを付けてみます。(仮付けでダブついてますが)

ネットの螺旋階段

当初の絵の位置では屋上への乗り越しが難しいので、一段上に取り付け位置を変えました。

木枠を付ける

ネットだけだと沈み込みが大きいので、木枠を付けることにしました。
木枠で支えてもこんなに沈みます。

カモジーの体重は63kgで、六歳児平均の20kgの3倍ありますが、やはり大きい。

木枠はガチガチに固定すると動きが無くなってつまらなくなるので、フロート状態で吊ることにしました。

これでかなり登りやすくなりましたが最後は垂直状態に近くなります。

そこで横棒を入れて縄梯子のような形にしてみます。

スピンポール

上から垂らした6本のロープの周囲を別のロープで巻いてネットを取り付ける構造なのですが、そのままでは鼓のような格好に絞られてしまいます。

そこでヨットのスピンネーカーの形を整える時に使うスピンネーカーポール(スピンポール)と同様の棒で形を整えることにしました。

32Φのラミンの丸棒を使いますが、オイル仕上げにします。
以前はオイル仕上げにはクルミ油を使っていましたが、昔から柱などを糠袋で手入れしていたようにクルミ油に替えて米油を使います。

丸棒の木枠

1段目に丸棒の木枠が付きました。
この木枠にネットをロープでからげて行きます。

3段目のネットスロープがほぼ出来ました。

ネットの一桝おきに24Φの丸棒を入れました。
60kgのカモジーが乗るとたわみますが、20kgの子供ならばほとんどたわみません。

1段目までのスロープが出来ました。
コーナー部分のネットを編み込めば完成です。

後もう少しというところで100mのロープを使い切ってしまいました。ヤレヤレ

コーナー部分を編み込んでいます。

バラシ・組立ができるようにノックダウン式で作っているので、ここであまりガチガチに固定してしまうとばらせなくなってしまうので、長手方向の手摺ロープ部分は現場で組んでからやった方がいいでしょうね。

完成

やっとこさ完成しました。

この後はGSGのメンバーの二人のジーサンが来て、解体・組立の練習をして、イキのいいアルバイトとともに現場へ行って組み立てる段取りです。

分解

GSGのメンバーが来て、分解・組立の練習です。

3時間で分解出来ました。

いよいよ明日は組み立てる練習です。

4時間で組みあがりました。

解体して積み込みます。

1tのピックアップトラックなので、積めるかどうか心配でしたがなんとかなりそうです。

現地で組み立て

とりあえず完成

とりあえず完成しました。

3時間で組みあがりました!工房での練習と、イキのいい助っ人のおかげですね。
ジーサン達も頑張りました!

この後は後ろに見える竹林から竹を切り出して床や壁を張ったり、強風対策をしたり、旗を立てたりとまだまだやることが沢山ありますが、とりあえずは完成しました。

お疲れ様でした。

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