薪ストーブについて検索してみると、高価な外国製のものや、二重断熱煙突に関するものが多く、なにやら薪ストーブ道みたいな感じもなくはないですね。

また薪ストーブVSロケットストーブのバトルも賑やかです。

ここでは、このブログの主のカモジーが雪深い飛騨の山奥でいろいろなストーブを20年近く使ってきて、辿り着いた煙突掃除を含めたアレコレを紹介します。

主に安価なストーブと安価な一重煙突を使った記事です。

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薪ストーブの煙突掃除は下からがいい

ストーブを工房の中央から壁際にもってきました。

この位置では煙突の長さが縦2m横2mの合計4mになったのでいいのですが、移動する前は工房のロフトを通って建物の妻側に出していたので10mもあって掃除がすごく大変だったのです。

通常煙突の縦横比は2:1以上と言われていますが、これくらいの長さだと問題ないようです。

なぜ煙突掃除は下からがいいのでしょうか

 

なんといってもこれが最も大事なことですが、安全だということにつきます。

煙突掃除を上からやるということは、屋根に上るか、高い脚立を使うことになり、当然墜落の危険が伴います。

余談ですが、こちらの地方では、毎年雪下ろしで屋根に上って墜落して亡くなる方が後を絶たないのです。

これから薪ストーブを入れる方には屋根貫通ではなく、壁貫通をおすすめします。上記の安全のため、また水仕舞のためです。雪の地方では棟の天辺に付ける場合を除いて雪による破壊を逃れるためでもあります。

屋根を貫通して煙突を設置している方には、費用はかかりますが、プロに依頼されることを強くおすすめします。

下から煙突掃除をする場合はせいぜい脚立の3~4段なので、万一踏み外しても、少しは痛い思いをするでしょうが、大きなケガにはなりません。

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下からの掃除だけで完結するには

煙突掃除はけっこう大変なので、できるだけ簡単にしたいですね。そのためには経路を単純に、煙道は短くするのが大事です。煙道が長ければその分、熱を多く室内に取り込めますが、掃除も大変になります。

煙突歴20年のカモジーの方法は、こうです

  1. 壁貫通の経路を最短にするために、ストーブを壁際に設置。
  2. 外側は防風のためのTの字を横付けするだけで縦煙突は付けない。
  3. 外側の横煙突には径の大きいサイズの煙突をダブルで重ねる。
  4. 外に捨てる熱量を回収するために熱交換器を設ける。
  5. 屈曲部はすべて掃除蓋付のエルボーとする。

ここで使うストーブは、2次燃焼をさせるような高価なものではなく、一般的で安価なものを想定しています。
最も安価なものは時計型でしょうか。

単純に考えて、短いほうが掃除は楽ということで、極力煙突の長さを短くします。
そのため、ストーブは煙突を出す壁際に設置します。

ストーブから垂直に煙突定尺(有効長さ830mm)を2本つないで立ち上げます。横から煙突ブラシを入れられるように、横方向に蓋が来るようにエルボーを付けます。

掃除の便を考えると、蓋付ではないエルボーやエビ曲げ90度はお勧めしません。

掃除の時は蓋を外すと外部のエルボーの上部からの光で、どの位のススがついているか一目で分かります。
ストーブへの縦煙突の掃除は同じ穴から下向きにブラシを入れます。短いので楽に下まで届きます。

メガネ石を介して煙突を外に出します。軒がある場合はもう1本継ぎ足します。
先端に防風用にエルボーを付けます。掃除の便のために蓋は付けません。

横煙突の屋外部分は一つ大きいサイズの煙突か、ホームセンターで売っているガルバ鋼板をかぶせて空気断熱をします。高価な二重断熱煙突を使わなくても十分な断熱ができ、ススの付き方が断然違ってきます。

ガルバ鋼板はわざわざ直径に合わせて切らなくても、クルクルと巻き付けて針金(できればステンレス製)でしばっておけば大丈夫です。永年の使用で腐食してきても、どこかの層で断熱を保持してくれます。

ストーブ側の縦煙突の下端には熱交換器へのつなぎにエルボーを付けます。蓋は下側です。

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ここからは、D51ストーブの紹介を兼ねて煙突取り回しの過程を含めて書きます。

 

ジャジャーン 工房のD51(デゴイチ)ストーブ!!

焚口が似ているのか、威勢よく燃えている時のボッボッボッボッという音が似ているのか、D51というのはおもしろいネーミングですね。

バッタの顔のようにもみえるし、愛嬌のある表情でなかなかいい。

 

このストーブは友人から頂いたのですが、前の持ち主から通算すると20年以上になると思います。腹の方は熱でシワがよって大分たるんできたけれど随分と長持ちするもんですね。

いまでも製作販売しているそうです。

このD51ストーブのいいところは、長い薪を入れらることです。
なにしろ200φの800mmの丸太をそのまま突っ込めるのです!

普通の薪ストーブの薪の長さは大体400mmです。
800mmなら、これで薪つくりの手間が半分になるわけです。これはありがたい!

さらに細長いものなら、吸込み口をすこし開けておいて1800mmのものでも突っ込めます。
燃えた分だけ押しこんでやればOKです。

威勢よく燃えて暖かいのはいいんですが、薪の消費量が半端ではないのであります。

なにしろ、煙突出口の温度が300度と、かなりのエネルギーを外にすてているのです。

なんとかしないと・・・

あまりにもったいないので、捨てている熱量を室内に回収するために、前に作ったロケットストーブのヒートライザ部分を熱交換器としてD51にくっつけました。

これによって、煙突出口の温度は300度から140度までに下がりました。ロケットストーブの出口温度30度には及びませんが、かなり室内に取り込めたと思います。

ヒートライザ部分の中身です。

ロケットストーブのヒートライザとして作ったものです。

真ん中の煙突はD51の排気にダイレクトにつながっています。

これをしっかり断熱することにより、強力な上昇気流を作っています。

言ってみれば、エンジンと同じで、というかレシプロのような断続的な爆発ではなく、ロケットというよりはジェットエンジンのような連続的な爆発といえます。

レシプロの排気過程と同じで強力に押し出す力が発生します。

ロケットストーブではこの力により、横引きで10mの煙突が可能です。

このD51とヒートライザの組み合わせではそこまではいきませんが、それでもヒートライザの中を放熱しながら下降する排気を押し出す力があり、外部の縦煙突がなくても十分に排気してくれています。

そのおかげで、すべての掃除が高さ2.5m以下でできるようになって、非常に安全に簡単に済むようになりました。

このヒートライザの上部は300度くらいになります。この写真ではヤカンが乗っていますが、網を置いてサンマを焼くと遠赤外線だけで焼くことで、実に旨いのであります!

まとめ

薪ストーブは良く乾燥した薪を使うのがベストですが、こちらでは乾燥したものから生木まで、針葉樹も広葉樹も、紙から生ゴミ天ぷら油まで、何でも選ばずに燃料にしてしまいます。

すると必然的に完全燃焼よりもタール状のものが多く付着します。これを当たり前のこととして、シーズン中(11月~4月)に4回ほど煙突掃除をするということで、簡単掃除を主眼にやってきました。

皆様の参考になれば、とても嬉しいです。

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