大正12年(1923)の関東大震災にちなんで制定された「防災の日」。
「防災の日」は、毎年9月1日で、この日を含む1週間が「防災週間」とされています。

しかしこの日は二百十日の台風シーズンと重なることもあり、皮肉なことに防災訓練が中止になることもままあるようです。

まさに今年(2018)はその通りで、台風21号に続いて北海道地震が起こりました。

ここ高山市図書館でも防災週間は特設の棚に防災に関する本が並んでいました。

その中でカモジーの眼を引いた本を紹介します。
「災害で活躍する乗物たち」柿谷哲也 著 サイエンスアイ新書 です。

乗り物好きには沢山の目鱗があり、興味深いものでした。

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災害で活躍する乗物たち

この本は、2011.3.11の東日本大震災があった年の10月に発行されています。

災害で活躍する乗物たちということで、陸・空・海の乗物を防災の観点から詳しく解説したものです。

乗物の性質上、自衛隊、海上保安庁、警視庁、米軍、のものが主になっています。普段は国防の観点から観られているのですが、ここでは防災という切り口で語られています。

ですから、乗り物好き、ヒコーキ好きのカモジーが知らなかった話がいっぱい出てきて、目鱗が沢山ありました。

空中給油機

例えば、航空自衛隊が投入した当時の最新鋭の装備として2008年から装備されたボーイングKC-767J空中給油機です。

これまでは、漠然と、空中給油機というんだから、中身は全部燃料タンクなんだろうと思っていました。

ところが、この空中給油機の原型はボーイング767旅客機で、旅客が預けた荷物を搭載するスペースの機体下半分の後方部分だけが燃料タンクで、その前方は貨物スペースになっており、上半分は多用途に使える貨物室および座席のスペースになっている。

貨物能力はC-130H輸送機を10t以上も上回る32tで、人員輸送の場合は200人です。

東北各地の空港に、支援物資や自衛隊隊員らを輸送しました。

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機動衛生ユニット

空飛ぶICU(集中治療室)とも呼ばれ、2007年装備で、東日本大震災で初めて投入されました。

C-130H輸送機に搭載すると、空飛ぶ病院になります。

ツェッペリン社製、航空ファンには懐かしい名前ですね。

大型破壊機救難消防車A-MB-3

欧米では「クラッシュ・レスキュー」と呼ばれる、本来なら「墜落・救難」の意。普通は各航空基地に配属されています。

420psV10ディーゼルを2基搭載の8輪全輪駆動車で不整地踏破能力があります。1分に6,000リットルの放水能力を見込まれ、核燃料プールの冷却に使われました。

おおすみ型輸送艦

全通甲板でヘリ空母のように使え、艦内のウエルデッキにエアクッション式揚陸艇(LCAC:エルキャック)を収容でき、車両甲板の車両を搭載し、不整地の海岸に乗り上げて直接揚陸できます。

本来は陸上自衛隊の上陸作戦支援が目的なので、艦内医療設備が充実しており、被災者の医療支援に活躍しました。

まとめ

外国で災害が起こると、必ず装甲車が出てきます。
その目的は、救援ではなく治安維持だそうです。

取材に来た外国人記者は救援に使われているのを見てビックリしたそうです。

そう言えば、雲仙普賢岳の火砕流の時に天草の島原城の傍らに装甲車が止まっていたのを思い出しました。

この本のごく一部を抜粋して書きましたが、様々の乗物がどのように災害派遣で使われたのかが網羅的に書かれています。

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